最近では室内で犬を飼っている人が多く、外へ出る機会があまり無いワンちゃんも居るようです。家の中や庭でしっかり遊んであげているし毎日は散歩に連れていかない、と言う飼い主さん、実は散歩には運動以外にも大事な役割があるって知っていましたか?ここでは犬の散歩と社会性について説明していきます。
社会性とは
私達人間でも、外に出てたくさんの人達と交流する機会をあまり持たずに生活をしてきた人は、団体行動や大勢の人達との交流が苦手になってしまう傾向がありますよね。これはワンちゃんも同じなんです。
社会性とは、家の外の世界、外の社会と関わることのできる力のこと。犬の社会性には大きく分けて4つのカテゴリーがあります。
- 他の犬との慣れ
- 他の動物との慣れ
- 飼い主以外の人間との慣れ
- 生活環境との慣れ
現代社会では外で過ごす時間よりも家の中や家族のみと生活する時間の方が遥かに多いというワンちゃんがほとんどではないでしょうか?確かに昔と違い、犬を離して走らせたり家の周囲をブラブラ歩かせておくなんてことは最近はできないですよね。その為、飼い主さんが犬を外へ連れ出す散歩の時間がとても大切になってくるんです。
社会性がないとどうなる?
もしワンちゃんがそれらの社会性を身につけていないと、一体どうなるのでしょうか?
社会性に欠けている犬は、他の動物や人間、物や音などに慣れていないため、散歩中などにそれらに出くわすと吠えたり威嚇をしたりします。街角などで他の犬や人に向かって吠え続ける犬を見かけたことはありませんか?
また、 知らない人が近づいてくるとオドオドと怯えて飼い主の後ろに隠れたり、自転車のベルを聞いたり人混みの中に入るだけでパニック状態になってしまうワンちゃんも居ます。彼らは外の世界で周囲と接する方法をあまり知らないため、そういった行動をとってしまうのです。
ワンちゃんが吠えたり威嚇したりする理由は、「恐怖心」そして「異常なテンションの高さ」にあります。怖いものを遠ざけよう、もしくは威嚇しようと吠え続けたり、逆に楽しそうなものを見て高テンションになりハシャギ過ぎたりと、周囲にとっては少し迷惑な存在になってしまうことも。これでは飼い主さんも落ち着いて散歩に連れていけませんよね。
社会性を育てるタイミングはいつ?
ワンちゃんがしっかり外の環境に慣れて社会性に長けるようになるには、幼少期の約10週間の過ごし方が大きなポイントとなります。
犬は生後3週目頃から感覚や神経がしっかりしてくる為、3、4週齢から14週齢ごろまでの間にたくさん外の空気に触れ様々な経験をさせてあげることで豊な社会性を養うことができます。この時期を「社会化期」といい、特に6〜8週齢では好奇心が警戒心や恐怖心を上回ることから社会化期の絶頂期であるといわれています。
この時期を過ぎると恐怖心が好奇心を上回るようになるため、個体にもよりますが14週齢辺りまでにたくさん外の環境に慣れさせておくといいでしょう。最初は抱っこしたまま家の近所をお散歩するだけでも、子犬にとっては様々な物を見る事ができ、そしてたくさんの刺激を受けることができます。
成犬になってからの社会性の育て方
もし幼少期に社会性を教えなかった、もしくは教えることができなかったという場合、成犬になってからでも社会性を育むことはできます。しかし、やはり幼少期のころとは違って時間がかかるため、飼い主さんの根気が必要になります。
まずは、毎日しっかり外に連れ出してあげてください。根気よく外の世界に触れさせ、色々な生き物や雑音などに慣れてもらいましょう。もしあまりにも吠えるのが気になる場合は、最初は人通りの少ない道や広い公園などを選ぶと良いですね。
もし吠えても、飼い主さんは大声で叱ったりはせずにワンちゃんを落ち着かせてあげてください。また、他の犬を見たら吠えるからと道を変えたり目を隠したりするのでは本末転倒。ワンちゃんにしっかり社会性を身につけてもらうため、相手の方には「すみません、散歩初めてなんです」と一言伝えて、ワンちゃんには「大丈夫だよ」というメッセージを送りましょう。もし大人しく居られたら、思いっきり褒めてあげるのを忘れないでください。
また、犬を飼っている知人に協力してもらい、その犬と一緒に過ごす時間を持つのもオススメです。あまりたくさんの人が居ない時間帯に一緒に散歩に行ったりドッグランへ出掛けたりして、他の犬や人との協調性を養う場を持てるといいですね。
まとめ
犬にとって散歩とはただ歩き回って周囲を見回すというものでは無く、視覚、嗅覚、聴覚を使って外の世界を取り入れることのできる大事な時間です。道ばたの花の匂いを嗅ぐ、近所の子供達が遊ぶのを見る、タンポポの綿毛を鼻に感じる、など、小さなことでも犬にとっては良い刺激に。外の世界に慣れ社会性を身につけることで、何処へ行っても落ち着いていられる犬に育てることができます。