よくドッグフードの成分欄で目にすることのある、酸化防止剤という名前。製造の過程でドッグフードに加えられる添加物ですが、その役割とは一体どんなものなのでしょうか?
酸化防止剤とは
毎日たくさんのカロリーを食事から摂取することを必要とするワンちゃん。一匹の体重当たり必要なカロリー量は、人間と比べると約4倍もの量!
その大きなエネルギー量を補うために、ドッグフードにはたくさんの油脂分やタンパク質が含まれており、そのおかげでワンちゃんはたっぷりのエネルギーを食事から得ることができるんです。
しかし、油脂分が多いとなると問題になるのが酸化現象。脂質を多く含む食品は酸化しやすいのです。酸化してしまうと、そのドッグフードに含まれるビタミン類を劣化させたりドッグフード自体の品質をも変えてしまうため、とても危険。
そしてその酸化したドッグフードを犬が食べてしまうと、下痢や嘔吐などの症状を引き起こしてしまいます。そういった品質の劣化を防ぐため、ドッグフードには酸化防止剤が加えられるのです。
酸化防止剤の種類
添加物と聞くと体に悪いようなイメージがあるようですが、酸化防止剤は長期保存の為には必要不可欠な添加物といえます。もし酸化防止剤が添加されていなかったら食品は数日で劣化してしまい、食べられなくなってしまうからです。
では、酸化防止剤には一体どのようなものがあるのでしょうか?
一概に酸化防止剤といっても、様々なものが酸化防止剤として使用されています。ドッグフードによく使用されている酸化防止剤には、以下の種類があります。
- 天然由来の酸化防止剤
- 化学合成されて作られた酸化防止剤
ではこれらの違いを見てみましょう。
天然由来の酸化防止剤
自然から得る酸化防止剤です。ドッグフードに使用される天然由来の酸化防止剤には、以下のモノがあります。
- ビタミンC(アスコルビン酸)
- ビタミンE(トコフェロール)
- ミックストコフェロール
- クエン酸
- ローズマリー抽出物
- 緑茶抽出物(カテキン)
- コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)
など
天然の素材からできているので犬の体にも優しく安心だと言われています。ただし注意点としては、天然由来の酸化防止剤は化学合成された酸化防止剤よりもその効力が弱く、短期間しか保存力が無いことが挙げられます。
つまり、天然の酸化防止剤が使用されたドッグフードは保存期間が短いため、愛犬が食べ切れる量を毎度毎度購入していく必要があります。買い溜めはオススメできません。
また、天然の酸化防止剤でも、それらを抽出する際に薬品を使用して抽出しているものも存在し、その薬品の危険性が疑われています。
化学合成されて作られた酸化防止剤
人口的に合成されて作られた酸化防止剤です。ドッグフードに使用される合成酸化防止剤には、以下のモノがあります。
- BHT(ジブチル・ヒドロキシ・トルエン)
- BHA(ブチル・ヒドロキシ・アニソール)
- エトキシキン
合成酸化防止剤は安価の割には強い酸化防止の力を持っており、これらが使用されたドッグフードは長期保存が可能となります。しかし、それら合成酸化防止剤は犬の体に対しての危険性が指摘されています。
BHT
主に、接着剤やゴムなどの品質変化を抑えるために使用されています。石油の酸化防止剤としても使用されていたことからも、その強力性がわかりますね。
摂取すると体内の遺伝子を変異させる「変異原性」が認められています。また、発がん性も疑われています。
BHA
もともとはガソリンの酸化防止剤として使用されてきました。非常の強い抗酸化作用を持っており、健康への悪影響も懸念されています。
マウスを使った動物実験では、BHAを投与してから数分後に歩行困難になり死亡したという報告例もあります。膀胱や甲状腺ガンなどの発がん性が認められると報告されています。
エトキシキン
日本では人間の食品や農薬への使用が禁止されている酸化防止剤ですが、海外のドッグフードには使用されているケースが多いです。
輸入する際に基準値を超えていないかチェックは行われていますが、この強力な酸化防止剤はガンを発症する恐れもあると言われており、購入は避ける方がいいでしょう。
まとめ
天然と合成の2種類ある酸化防止剤。ドッグフードには必要な添加物ですが、その危険性も飼い主としては知っておきたいですね。
合成酸化防止剤にはこれだけの危険性が訴えられているのに未だドッグフードに使用されている理由は、そのコストの低さにあります。
しかし、いくら安いからといっても愛犬の健康に悪影響を与えるようなドッグフードは与えたくないですよね。ドッグフードを購入の際には原材料に化学合成の酸化防止剤が使用されていないものを選ぶようにしましょう。