私達の生活に一番身近な存在の動物だと言える、犬と猫。人気ペットの代表として一つの家に彼らが共存するのも珍しくない光景ですが、彼らの食事であるドッグフードとキャットフード について疑問を持ったことがある人も多いのではないでしょうか?
これらのフード、どちらも見た目は似ていますが、中身はどう違うのでしょう。
犬と猫の違い
犬も猫も昔は狩りをして獲物を食べていた野生動物でしたが、その体の構造には違う部分があります。
まず犬の場合は、メインの肉の他に野菜や果物なども食べていたため、それらを消化する酵素が体内に存在します。その酵素のおかげで、例えば緑黄色野菜に含まれるβカロチンを体内でビタミンAに変換することが可能なのです。
しかし、猫にはその酵素が無いため、野菜や穀物などに含まれる栄養素を体内に吸収することができません。野生の頃はネズミなどを食べることによってネズミの体内で酵素分解された栄養素を摂っていましたが、ペットとして生きる現代の猫にはキャットフードからそれらの栄養素を直接摂取しなければならないのです。
また、猫は体内でタウリンを生成できない身体を持っています。そのため、目の健康を保つために大事なこのタウリンも食事から摂ることが必要となります。反対に、犬はこのタウリンを体内で生成できるため、わざわざタウリンを食事から摂る必要はありません。
ドッグフードとキャットフードはどこが違う?
犬と猫には身体の構造上の違いがある為、それぞれに合った食事が必要となります。彼らの健康を支えるドッグフードとキャットフードには、下記のような違いがあるんです。
- 原材料の違い
- 栄養分の違い
「原材料」の違い
動物性たんぱく質がとても大事な犬にとって、理想的なドッグフードのメインの原材料は肉となります。鶏肉やラム肉、牛肉や鹿肉などが使用されることが多いですね。
反対に、キャットフードの場合は魚がメインの原材料として使われているものが多いです。それは猫が魚を好むからというのが理由のようです。
ドッグフードとキャットフードに含まれる他の成分を見てみましょう。ドッグフードには肉、脂質、その他に野菜や果物、穀物などが含まれます。それに対し、キャットフードには魚や肉、脂質、そしてビタミンやミネラル、炭水化物などが含まれます。
これは、犬が野菜や果物などの栄養を体内でビタミンに変換できるのに対し、猫はそれができない為、キャットフードにはビタミンやミネラルなどが直接そのまま含まれているのです。ここが大きな違いとなりますね。
「栄養分」の違い
ドッグフードとキャットフード、両方とも基本的には肉や魚などのタンパク質がメイン成分として含まれていますが、キャットフードの場合はそのタンパク質、そして脂質、塩分がドッグフードの約2倍も含まれているんです。
つまり、キャットフードの方がドッグフードよりも濃い味付けで栄養価も高く、嗜好性が高い食事ということです。
それぞれに違うフードを与えてしまうと、どうなる?
では、犬にキャットフードを、そして猫にドッグフードを与えていると、一体どのような影響があるのでしょうか?
まず、犬にキャットフードを与え続けてしまった場合を考えてみましょう。キャットフードは高タンパクで高脂肪なため、それを食べ続けた犬は栄養の摂り過ぎになり内臓に支障をきたしてしまう恐れがあります。
特に腎臓に負担がかかってしまい、腎臓病などを発症しやすくなってしまいます。また、キャットフードの濃い味付けを覚えてしまうと、本来食べるべきドッグフードを食べなくなってしまうことも考えられます。
逆に猫がドッグフードを食べ続けた場合、ドッグフードには猫にとって大切な成分が充分に含まれていないため栄養失調になってしまいます。特に猫に必要なタウリンがドッグフードには含まれていないため、失明や心筋症などの重度の病気を引き起こす原因となってしまいます。
まとめ
一見同じように見えるドッグフードとキャットフードですが、やはり犬と猫それぞれの体を考えて作られているのですね。
犬と猫を飼っている人は食事の管理に気をつけ、彼らが欲しがっても、犬にはドッグフード、猫にはキャットフードをきちんと与えるようにしましょう。