ドッグフードのパッケージを見ると、ドッグフードには様々な材料が使用されているのがわかります。その中で、あまり耳にしたことのない成分や添加物があるなと気になったことのある人は少なくないのではないでしょうか?
ここでは、ドッグフードに使用される酸化防止剤という添加物の中で注意したいものを紹介したいと思います。
エトキシン
化学合成で作られる、酸化防止剤の一つ。
1953年にゴムの固定剤として開発されました。非常に強い抗酸化作用をもつ物質で、日本では食品や農薬などへの使用は許可されていません。
しかし、飼料への添加は定められた基準値の範囲内であれば許可されています。基準値の範囲内であればエトキシンが直接健康に害を及ぼしたという事例はありませんが、基準値が規制されているということは、その摂取に関して慎重であるべきだといえます。
日本国内では、ドッグフードには最大75μg(マイクログラム)/g以下であれば使用が認められています。しかし原材料に含まれる分は除外しての計算になりますので、もし原材料にもエトキシンが使用されているドッグフードの場合、その含有量は規定量を上回る可能性があります。
エトキシンは動物実験の結果、腎臓、胃、膀胱、大腸にガンを形成する発ガン性が報告されており、アメリカではアレルギーを誘発する可能性もあると警告されています。
BHT
化学合成で作られる、酸化防止剤の一つ。
ジブチルヒドロキシトルエンのことで、石油など工業用品の酸化防止剤として使用されてきました。今では主に接着剤やゴムなどの品質安定剤として使用されています。
1970年以降はBHTを食品に使用するのを禁止する企業が多くなり、また、2000年以降は人間用の医薬品やサプリメントを製造する会社などでもBHTの使用を自粛している所が多くなっています。アメリカでは、乳幼児対象の商品にBHTを使用することは禁止されています。
これは、BHTには遺伝子を変異させる「変異原生」が認められているから。変異原生とは、生物の遺伝情報(DNAまたは染色体)に変化を引き起こす作用を持つ物質のことを指します。
あるラットを使っての実験では、餌に10%のラードと0.1%のBHTを与えた結果、そのラットから産まれた新生仔に無眼球症が見られたという実験結果があります。また、発ガン性は認められてはいませんが、膀胱ガンや甲状腺ガンを誘発する可能性があるとされています。
BHTに関してペットフード安全法では、定められた基準内であればドッグフードへの使用が認められています。
BHA
化学合成で作られる、酸化防止剤の一つ。
ブチルヒドロキシアニソールのことで、1940年頃から石油用の抗酸化剤として使用されてきました。1954年にはアメリカで食品への添加物として使用されるようになり、1956年には日本でも使用が認められるようになりました。
BHAには発ガン性、歩行障害、呼吸困難、消化器官の出血、肝臓のうっ血を引き起こす可能性があると確認されています。
厚生省の以来で名古屋大学にて行われた1982年の実験では、300匹のラットのうち餌に2%のBHAを与えたラットと与えないラットで比較して検証。その結果、BHAを与えたラットはオスは100%、メスは96〜98%の発ガンが認められました。
BHA無投与のラットの発ガン率は0%でした。その他、BHAを投与したマウスが数秒後に歩行障害を起こし、そして死亡したという例も確認されています。
現在でも私達の食品の「油脂の製造に用いるパーム原料油およびパーム核原料油」に限り使用が認められています。ドッグフードに関しては、ペット安全法で定める基準内であれば使用が認められています。
没食子酸プロピル
「もっしょくしさんプロピル」と読み、ドッグフードの損傷を遅らせるための化学物質で、酸化防止剤として使用されています。
没食子酸プロピルはBHTやBHAの2倍の効果を持つ強力な添加物で、大きな効力を持つ分その危険性が問われています。 人間に対しても推測致死量があるほど。
ドッグフードに使用されていますが、摂取し続けると肝臓に障害を引き起こす可能性があると言われています。
まとめ
犬の食いつきを良くするためにドッグフードに含まれる動物性油脂などの脂肪分。これらは酸化しやすいため、それを防ぐために酸化防止剤が使用されています。
しかし、上記のような危険な酸化防止剤が入っているドッグフードは避けたいものですね。酸化防止剤はドッグフードには必要な添加物ですので、天然のものを使用しているドッグフードを選ぶようにするといいでしょう。